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海と太陽のパワーを感じる「キムスージャ展 A Mirror Woman : The Sun & The Moon」 [ update:2008.09.10 ]

海と太陽のパワーを感じる「キムスージャ展 A Mirror Woman : The Sun & The Moon」のメインイメージ

A Mirror Woman : The Sun & The Moon, 2008

資生堂ギャラリーでは韓国出身でニューヨーク在住の女性アーティスト、キムスージャの個展を開催している。

今回披露される新作「A Mirror Woman : The Sun & The Moon」は、インドのゴアで太陽と月と海を撮影した映像作品。太陽と月、潮の干満といった陰と陽。また全ての生命をつかさどる太陽と月と海。これまでの彼女の作品とくらべても、自然を扱ったスケールの大きな作品といえるだろう。同じテーマで制作された写真作品もあわせて展示される。

映像のインスタレーションでは、展示空間の四方がスクリーンに囲まれる。一面は空から太陽を浴びる海の風景、もう一面では太陽に反射し輝く波の動きをクローズアップして映した映像など、一面ごとに視点を変えて捉えられた海の様子が映され、陽が落ち、月が昇るまでの、ゆったりとした情景で観る者を魅了。"母なる海"の力だろうか、不思議と肩の力が抜け、身体全体をリラックスさせる。

0910_1_s1.jpgA Mirror Woman : The Sun & The Moon, 2008

写真、インスタレーション、パフォーマンス、ビデオなど、多岐に渡る表現方法で知られているキムスージャ。なかでも、色彩豊か韓国の伝統的な布をよく使い、なかでもベッドカバーを用いた作品には、男と女、生と死、喜びと悲しみ、繁栄と衰退など、さまざまな陰と陽が表現されているという。「子供の頃に母と一緒にベッドカバーを縫っているときに"縫う"行為のパワーを感じた」と、"縫う"行為は重要な意味を持つと語る彼女。特に韓国では"縫う"作業は女性の仕事であり、女性を象徴するものだとされている。「アーティストとして様々な国を行き来しすることで、自分自身を"針"とし、人々や国、風景のあいだを縫いあわせている」と言うキムスージャの精神世界を、この映像世界の中にも垣間見ることができるだろう。

10月17日(金)より開催となる「ミッシング・ピース 東京展」にも参加することが決定しており、ますます彼女の活躍に目が離せなくなりそうだ。

0910_1_s2.jpgA Mirror Woman : The Sun & The Moon, 2008

■「キムスージャ展 A Mirror Woman : The Sun & The Moon」
会期: 8月23日(土)~10月19日(日)
会場:SHISEIDO GALLERY
東京都中央区銀座8-8-3 東京銀座資生堂ビル地下1階
Tel:03-3572-3901
休館日:毎週月曜日
開館時間:11:00-19:00(日・祝は18:00まで)
入場無料

気鋭の写真家・米田知子初の大型個展「終わりは始まり」 [ update:2008.09.09 ]

気鋭の写真家・米田知子初の大型個展「終わりは始まり」のメインイメージ

「恋人、ドゥナウーイヴァーロシュ(スターリン・シティと呼ばれた町)・ハンガリー」
2004年 タイプC プリント 65.0x83.0cm (「雪解けのあとに」から)
©Tomoko Yoneda Courtesy Shugo Arts

原美術館では、気鋭の写真家・米田知子の制作活動の全体像を見渡す大規模な個展を開催する。

米田知子は、現在ロンドンを拠点に国際的な活躍をしている写真家。1965年に兵庫県明石市に生まれ、イリノイ大学シカゴ校とロンドンのロイヤル カレッジ オブ アートで写真を学んだ後、世界各国に被写体を求めながら、独自の世界を確立した。昨年2007年には「ヴェネチア ビエンナーレ」第52回展に招待出品するなど、近年の活躍は特にめざましい。

本展は、初公開となる新作シリーズのほかに代表作である「シーン」と「見えるものと見えないもののあいだ」、「シーン」の延長上ともいえる未発表新作「パラレル・ライフ-ゾルゲを中心とする国際諜報団密会場所」、写真家としての視線の特徴がよくうかがえる初期作品「トポグラフィカル・アナロジー」の各シリーズで構成し、約60点を紹介。このように制作活動の全体像を見渡せる規模の個展は今回が初めて。

0909_3_s1.jpg「フロイトの眼鏡-ユングのテキストを見るII」
1998 年 ゼラチンシルバープリント 120.0×120.0cm(「見えるものと見えないもののあいだ」から)
©Tomoko Yoneda Courtesy Shugo Arts

写真家としての米田知子は、被写体の観察とその記録という写真メディアの特徴に忠実だ。現在も撮り続けている「シーン」(1998-)のシリーズは、一見なにげない山野・海浜・市街地などの情景(=scene)を写したもの。しかし、それらは、歴史の一齣の舞台となった場所、国家・民族・社会の集団的記憶と結びつく地点――例えば、第一次・第二次世界大戦において戦いがあった地点などである。

ただ、その場所の意味が分かるのは、個々のタイトルを読んだときであって、写真の中の風景自体は"なにげない"ものと映るだろう。歴史的な出来事や人物の記憶を共有するために公共の場所に記念碑(モニュメント)を作ることは、今では珍しくない。しかし、「シーン」に出てくる場所は、そのような「記憶装置」が無いかあるいはほとんど気づきにくい、しかしそれでもなお、歴史的な時間や記憶が確実に刻み込まれた場所なのだ。
米田知子の写真の特徴は、このような「見えないものを見る」視線とでもいうべきものにある。その視線に気づいたとき、鑑賞者は米田知子が提示する静謐な風景が奇妙にざわめきはじめることを感じるだろう。同時に、カメラのレンズという機械の視線が表現行為にもたらす可能性に、きっとあらためて気づかされるだろう。

0909_3_s2.jpg「ウエディング-中国から北朝鮮を臨む国境の川、丹東」
2007 年 タイプC プリント 76.0×96.0cm (「シーン」から)
©Tomoko Yoneda Courtesy Shugo Arts

■米田知子展―終わりは始まり
会期:2008年9月12日(金)~11月30日(日)
会場:原美術館
東京都品川区北品川4-7-25
Tel: 03-3445-0651(代表)
休館日:月曜日(9月15日、10月13日、11月3日、11月24日は開館)、
9月16日、10月14日、11月4日、11月25日
※月曜日が祝日にあたる場合は開館し、翌日振替休館
開館時間:11:00-17:00(水曜日は20:00まで開館/入館は閉館時刻の30分前まで)
観覧料:一般¥1,000、大高生¥700、小中生¥500
*20名以上の団体は1人100円引き


米田知子 オフィシャルWebサイト

秋のパリは、アートの“世界探訪”へ [ update:2008.09.09 ]

秋のパリは、アートの“世界探訪”へのメインイメージ

(写真左)能面 17世紀 日本
木、顔料/H. : 21,6 cm Photo© Don Tuttle、Thomas Murray
(写真右)モノリス 16世紀以前 ナイジェリア
H : 149 cm コレクション Alain Javelaud Photo© Hughes Dubois

サンジェルマン・デ・プレ界隈は、アンティークから現代にいたる作品を紹介するギャラリーがひしめきあう。ショッピングの途中に、カフェで一服して、その足で、ギャラリーに訪れるのも、「パリ時間」でいい。

9月10日から14日まで、Parcours des mondes(=世界探訪)と題した、プリミティヴ・アート作品を集結した展示会が、周辺ギャラリーで開催される。

今展は、ベルギー、アメリカ、イタリア、スイスなどの海外ギャラリーが出展の50%を占めるもので、パリのギャラリストたちが彼らのコレクションを紹介するものである。世界各国から、それも選りすぐりの卓越した作品ばかりを拝見できそうだ。

16世紀以前に彫られた、ナイジェリアの石像モノリスは、子供の背丈ほどもある一点である。全体像を表現する立体に、表情や文様が浮き彫りになる。コンゴの木像女性は、地につけた足、突き出る胸といったプロポーションが独特で、思わず視線が止まる。

同時期に、グラン・パレでは、アンティーク・ビエンナーレが開催されることもあり、パリが「アート」に包まれる秋を感じる季節にさしかかる。

Parcours des mondes オフィシャルWebサイト

text by Kaoru URATA

“五行思想”に基づく三嶋章義の個展[Elements] [ update:2008.09.02 ]

“五行思想”に基づく三嶋章義の個展[Elements]のメインイメージ

DIESEL DENIM GALLERY AOYAMAでは、現在三嶋章義の個展[Elements]を開催している。

三嶋章義は、ヒロ杉山率いるアートワークグループ「ENLIGHTENMENT(エンライトメント)」の一員として、これまでそのコマーシャルワーク、ファインアート作品、VJなどの多様な創作活動に携わる傍ら、自身のソロプロジェクトも積極的に展開している気鋭の若手作家。あらゆる色彩と形象を自由に操り、ボーダーレスなイメージを志向するそのクリエイティヴは、アート関係者のみならず、アートの新時代を期待する若者たちの高い注目を集めている。

三嶋は、戦後第三世代を生きる自身の創作コンセプトとして、異文化との積極的な融合を掲げている。そのクリエイティヴは、あらゆる文化圏の異なる言語、歴史、そしてイメージを積極的に吸収し、それを再構築して、融和の可能性を捕らえようと向かう。その姿勢は、グローバリズムの謳われる世界の未来像の一端を牽引する日本の特異な存在に起因しているのだろう。

今回の[Elements]において、三嶋は、古代中国から伝わる五行思想をヒントに、世界の調和の可能性についての考察を試みた。「水は火に勝ち、火は金に勝ち、金は木に勝ち、木は土に勝ち、土は水に勝つ」という五行相剋に象徴される"五行思想"は、世界の成り立ちを「木・火・土・金・水」という五つの元素にて解釈。全ての要素が互いの欠点を補完し合い、また抑制し合うというその関係に注目した五つの象徴的なイメージと、その思想を具体化する実験的なインスタレーションによって、世界の未来像に対するイメージが創り上げられた。

0902_2_s1.jpgまた、1Fのストアインスタレーションでは、建築家の松原慈と、彼女率いるデザインユニット「ASSISTANT」による「BOOJUM」展を開催中。無意味にバランスを与える装置"BOOJUM"と題された不思議なインスタレーションも併せて要チェック。

■三嶋章義 [Elements]
会期:2008年8月30日(土)~11月9日(日)
会場:DIESEL DENIM GALLERY AOYAMA 2F

■"BOOJUM" Megumi Matsubara with Assistant
会期:2008年8月30日(土)~2009年2月8日(日)
会場:DIESEL DENIM GALLERY AOYAMA 1F

住所:東京都港区南青山6-3-3
Tel:03-6418-5323
営業時間:1F STORE 11:00-20:00/2F GALLERY 13:00-20:00

『ハムレット』の悲劇のヒロインを描いた、ミレイの傑作“オフィーリア”来日 [ update:2008.09.01 ]

『ハムレット』の悲劇のヒロインを描いた、ミレイの傑作“オフィーリア”来日のメインイメージ

《オフィーリア》 1851-52年 油彩・キャンヴァス テート蔵 ©Tate

シェイクスピアの戯曲『ハムレット』に登場する悲劇のヒロインを描いた、ジョン・エヴァレット・ミレイ(1829~96年)の代表作《オフィーリア》。恋人ハムレットに父親を殺されて正気を失い、オフィーリアが溺死する劇的な瞬間が描かれた本作。緻密な細部描写と絢爛な色彩のうちに鋭く捉え、絵画作品として彼女を永遠のものとした。この作品に魅せられ、影響を受けた画家や詩人、文学者は数多い。文豪の夏目漱石もその1人に挙げられ、後に小説『草枕』の中で言及されたほど。19世紀の英国を代表する天才画家として、ジョン・エヴァレット・ミレイの名声を確立させた記念碑的な作品である。

現在Bunkamuraザ・ミュージアムで開催中の「ジョン・エヴァレット・ミレイ展」は、《オフィーリア》を目玉作品として、ミレイの10代から晩年までの広い範囲の作品を紹介。ロンドンのテート・ブリテンで2007年9月からスタート、今春アムステルダムのゴッホ美術館で開催された後、この度日本に巡回した本展は、彼の画業の全容を紹介する本格的な回顧展。ほかに、《両親の家のキリスト》、《マリアナ》など、テート・ブリテンをはじめ、英国内外の主要コレクションから、油彩、素描など約80点が披露される。

0901_2_s1.jpg《マリアナ》 1850-51年 油彩・板(マホガニー材) テート蔵 ©Tate

1840年には11歳という史上最年少でロイヤル・アカデミー(王立美術学校)への入学を許可されるという、早くから天才の才能を開花させたミレイ。しかし美術学校の授業や古い慣習に不満を抱き、1848年秋にダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ、ウィリアム・ホルマン・ハントらと「ラファエル前派兄弟団」を結成、革新的芸術運動にで注目を浴びる。67歳で亡くなるまで、唯美主義的作品、子供を主題とした作品、肖像画、風景画など、新たな技法を探求しながら幅広いジャンルの作品を手がけ、1896年、亡くなる直前にはロイヤル・アカデミーの会長に選ばれている。

悲しい題材であるにも関わらず、心奪われる美しさに満ちているミレイの《オフィーリア》。本物に出会うことのできるこの貴重な機会、ぜひお見逃しなく!

0901_2_s2.jpg《ハートは切り札:ウォルター・アームストロングの娘たち、エリザベス、ダイアナ、メアリーの肖像》 
1872年 油彩・キャンヴァス テート蔵 ©Tate

英国ヴィクトリア朝絵画の巨匠「ジョン・エヴァレット・ミレイ展」
会期:2008年8月30日(土)~10月26日(日)
開催時間:10:00~19:00
※金・土曜は午後9時まで(入館は閉館の30分前まで)
会期中無休
会場:Bunkamuraザ・ミュージアム
東京都渋谷区道玄坂2-24-1
Tel:03-3477-9413
入館料:一般 ¥1,400(1,300)、大学・高校生 ¥1,000(900)、中学・小学生 ¥700(600)
※( )内は20名以上の団体

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