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今なお第一線で活躍し続けるダニ・カラヴァン“環境彫刻”の軌跡 [ update:2008.08.27 ]

今なお第一線で活躍し続けるダニ・カラヴァン“環境彫刻”の軌跡のメインイメージ

(写真左)<はじめに> 霧島アートの森 鹿児島県 1998-2000年 © Dani Karavan、(写真右)<白い広場> テル・アヴィヴ、イスラエル 1977‐88年 © Avraham Hai

イスラエル出身の彫刻家、ダニ・カラヴァン(Dani KARAVAN)をご存知だろうか。彼は、周囲の環境との調和を図るような大規模な立体作品を創造。その土地ならではの自然や歴史/記憶に由来する"環境彫刻"を創造する、世界でも稀有な芸術家だ。世田谷美術館では9月2日(火)より『ダニ・カラヴァン展』を開催する。

1930年、建国前のイスラエルの地に生まれたカラヴァン。フィレンツェやパリで絵画とフレスコ画を学び、マーサ・グレアム、ジャン・カルロ・メノッティらの舞台美術を担当。一方で、イサム・ノグチが担当したマーサ・グレアム・ダンス・カンパニーの舞台美術に激しい衝撃を受け、自らもイスラエル国内の劇場をはじめとする、様々な場所でコンテンポラリー・ダンスの舞台美術を担当。二次元から三次元へとその活躍の場を移してゆく。

0826_3_s1.jpg壁画<平和のパイプ>スケッチ 1963年

やがて、カラヴァンはフレスコ画に対する習熟から、イスラエル国内で壁画を多数担当する。次第に彼は、壁画から彫刻、レリーフへと自らの表現を展開。そして、イサム・ノグチやブランクーシ、ジャコメッティに多大な啓示を受けて、独自の手法"環境彫刻"へとたどり着く。ヴェネツィア・ビエンナーレ(第38回)やドクメンタ(第6回、第8回)に参加、国際的評価を手に入れるた後も、イスラエル国内はもとより、世界各地で様々な依頼による環境彫刻を実現し、今なお多数のプロジェクトを精力的に進行中。札幌芸術の森(北海道札幌市)や霧島アートの森(鹿児島県霧島市)、室生山上公園芸術の森(奈良県室生市)と、日本の地にも彼の作品が息づいている。

本展は、テル・アヴィヴ美術館(イスラエル)とマルティン・グロピウス・バウ(ドイツ)の協力のもとに企画された国際巡回展。カラヴァン自らが会場デザインを手がけ、世界初公開となる初期の油彩画や挿絵、壁画や舞台美術の資料や映像が集まる。

ダニ・カラヴァンが土地に根付く独自の表現、"環境彫刻"へとたどり着くまでの軌跡を、またとないこの機会に辿ってみてほしい。

0826_3_s2.jpg舞台美術 <夢かうつつか>部分 1965年 © Agor

ダニ・カラヴァン展
会期:2008年9月2日(火)~10月21日(火)
会場:世田谷美術館 1階企画展示室
東京都世田谷区砧公園1-2
展覧会のご案内専用Tel:03-5777-8600(ハローダイヤル)
休館日:毎週月曜日 (但し、月曜が休日の場合は開館、翌日休館)
開館時間:10:00-18:00(入場は17:30まで)
観覧料:一般¥1,000(800)、大高生/65歳以上¥800(640)、中小生・障害者(一般)¥500(400)
*()内は20名以上の団体割引料金

自然の気の中で心眼を開く塩保朋子の試み [ update:2008.08.26 ]

自然の気の中で心眼を開く塩保朋子の試みのメインイメージ

"blessing wall", 2006, 紙, 240×750cm

大きく広い紙に施された、緻密な流線模様の織り成す世界。今注目の若手アーティスト、塩保朋子の初個展が、SCAI THE BATHHOUSEにて8月29日(金)より開催される。

1981年生まれの塩保朋子は、京都市立芸術大学で彫刻を専攻。在学中に、大学構内のぎしぎしの葉の葉脈の繊細さ、また、そのダイナミックな形に魅せられて、その葉脈を1本1本カッターで切り抜いてみたことが、現在の作品のきっかけとなったという。大学卒業後の2005年に第6回SICF(Spiral Independent Creators Festival)にてグランプリを受賞、2006年には越後妻有アートトリエンナーレでの福武ハウスにて作品を展示、2007年VOCA展に選出。また今年、2008年は五島記念文化賞美術新人賞を受賞するなど、彼女は確実に活躍の場を広げ、高い評価を集めている。

"waterfall", 2007, ダブルトレーシングペーパー, h.660 x w.350 x d.65 cm

"自然"をテーマに制作される彼女の作品。その表現は主に、大きく広い紙をカッターナイフで細かく切り込み重ねられる「カッティング作品」、特殊な合成紙をハンダごてで溶かして穴を空け、イメージを紡ぐ「ハンダ作品」、及びアクリル絵の具や木炭などによる「ドローイング作品」という、どれもごく繊細な手の仕事の反復によって展開される。

長い年月をかけて繰り返される自然のリズムと波長を合わせるように、小さな刻みを営々と積み重ねることで生み出される壮大なスケール。その場の空気や光の流れを取り込んで一体化し、その空間を抽象化された自然そのもの、奥行きのある自然の気配として感じさせる。「自然を通して仏教や禅などに通じる宇宙の真理を追求する世界観を表現したい」と言う彼女の、二次元の紙を切り抜いて、"空"を素材に空間そのものを刻む新しい彫刻の試みの反映ともいえるだろう。

今回の個展 「Cutting Insights」 (心眼を開く・物事の真実の姿を見抜く)では、高さ6メートル、幅3.5メートルの広い紙が細かく切り込み重ねられ、静かに波打って現れるインスタレーション作品を中心に、新作のハンダ作品、アクリル絵の具、及び木炭によるドローイングを発表する。

塩保朋子が"真に大事なもの"として心眼に感じた、音を立てるように沸き出てくる命、昇華して循環する命の力強く躍動的なイメージを、ぜひ全身で感じ取ってみてほしい。

0826_2_s2.jpg"waterfall", 2007, ダブルトレーシングペーパー, h.660 x w.350 x d.65 cm


塩保朋子「Cutting Insights」
会期:2008年8月29日(金)~9月27日(土)
会場:SCAI THE BATHHOUSE
東京都台東区谷中6-1-23 柏湯跡
Tel:03-3821-1144
開廊時間:12:00-19:00
休館日:日・月・祝日
入場料:無料
【展示作品】
新作インスタレーション及びドローイング作品

知られざる“アヴァンギャルド・チャイナ”の鼓動を感じる [ update:2008.08.20 ]

知られざる“アヴァンギャルド・チャイナ”の鼓動を感じるのメインイメージ

(写真左)王広義《無題(赤い格子の後ろの聖母)》
1987年、油彩・カンヴァス、ガイ&ミリアム・ユーレンス財団(スイス)蔵
Collection Guy & Myriam Ullens Foundation, Switzerland
(写真右)方力鈞《シリーズ2 No.3》
1992年、油彩・カンヴァス、福岡アジア美術館蔵

日本においては1990年代半ばよりシニカル・リアリズムやパフォーマンス・アートの美術家たちが注目され、2000年代に入ってからは、若い中国人美術家たちの作品披露の場も増えてきた「中国現代美術」。国立新美術館では本日より、中国現代美術の約20年間を、その時々を代表する美術家たちの作品と併せて紹介する、総合的な展覧会『アヴァンギャルド・チャイナ―〈中国当代美術〉二十年―』が始まった。

中国現代美術の始まりは、中国で改革開放政策が始まった1970年代末。美術の世界でも社会主義リアリズム絵画とは異なる表現が登場し、1979年には"星星画会"が展覧会を開催。美術家の個性を前面に打ち出した自由な芸術活動の発端となる。

0820_2_s1.jpg(写真左)曹斐 《ラビッド・ドッグス》
2002年、ビデオ、Courtesy @ Cao Fei, Vitamin Creative Space
(写真右)黄永砅《『中国絵画史』と『現代絵画簡史』を洗濯機で2分間攪拌した》
1987/1993年再制作、茶箱・紙パルプ・ガラス、ウォーカー・アート・センター蔵
Collection Walker Art Center, Minneapolis T.B. Walker Acquisition Fund, 2001

80年代半ば頃からは、中国全土で同時多発的にさまざまな前衛グループが結成され、"八五美術運動"と呼ばれる大きなうねりを形成。彼らは、西欧からの情報流入を背景に、中国が抱える社会的なテーマを、従来の絵画や彫刻のみならず、パフォーマンスやインスタレーションといった新しい手法で表現した。

90年代初めには"ポリティカル・ポップ"や"シニカル・リアリズム"といった新たなの美術家たちの活動が目立ち始め、中国現代美術の存在を国際的に知らしめすことに。その後、拍車がかかったように過激なパフォーマンス・アートや映像作品などが続々と生まれ、以来現代美術は、2000年以降のグローバル化に連動し、美術市場の活況と国際展の隆盛と共に、中国の開放を象徴する文化のひとつとして認知されている。

今回のような中国現代美術の網羅的、通史的な紹介を行う展覧会は日本初。北京オリンピックで盛り上がりを見せる中国を、新たな視点から感じ取ってみてほしい。

0820_2_s2.jpg孫原・彭禹《老人ホーム》
2007年、ミクストメディア、作者蔵


『アヴァンギャルド・チャイナ―〈中国当代美術〉二十年―』
期間:2008年8月20日(水)~ 10月20日(月)
会場:国立新美術館 企画展示室2E
 
休館日:火曜日(ただし9月23日(火)は開館、翌日24日(水)休館 )
開館時間:10:00~18:00
※金曜日は20:00まで/入館は閉館の30分前まで
お問い合わせ先 Tel:03-5777-8600(ハローダイヤル)

自然環境によって変化する銀色の世界 [ update:2008.08.19 ]

自然環境によって変化する銀色の世界のメインイメージ

《 Aluminum Landscape》 2008年 撮影:木奥恵三
Aluminum Landscape 2008 Photo : Keizo Kioku

只今東京都現代美術館ので開催中の「パブリック・スペースプロジェクト」。サンクンガーデンと呼ばれる中庭のような場所に、突如、銀世界が出現。岡田公彦氏がアルミニウムを使用した22m×41m×6.5mの作品を設置し、その日の天気や時間によって見え方が変化していく風景を創り出す。

屋外のスペースにあるので、周りを歩き回りながら鑑賞したり、エントランスロビーやパブリックプラザからその全貌を見下ろすことも。建築家の岡田氏ならではの、環境によって素材が活きる実験的な試みを体感してみてほしい。


MOT×Bloomberg パブリック・スペースプロジェクト 岡田公彦
期間:2008年7月26日(土)~9月28日(日)
会場:東京都現代美術館 サンクンガーデン(B2F)
東京都江東区三好4-1-1
休館日:月曜日(ただし9月15日、22日は開館)
開館時間:10:00~18:00(入場は閉館の30分前まで)
※休館中も10時から18時まで、正面入口脇パブリックプラザより作品をご覧頂けます
Tel:03-5777-8600(ハローダイヤル)
観覧料:無料(どなたでも自由にご覧頂けます)
主催:財団法人東京都歴史文化財団、東京都現代美術館、Bloomberg

※同時開催
「パラレル・ワールド もうひとつの世界
「スタジオジブリ・レイアウト」展


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「Alyah Beth展」イスラエルの旗を掲げる若者たち [ update:2008.08.18 ]

「Alyah Beth展」イスラエルの旗を掲げる若者たちのメインイメージ

Paritta号 photo© Yad Vashem.

イスラエルが建国されたのは、1948年5月14日。今年で建国60周年を迎えた。パリのマレ地区にある、ユダヤ教資料館(Mémorial Shoah)では、「Alyah Beth」展が開催されている。

これは、第二次世界大戦後、収容所から解放されたユダヤ人たちが、フランスからEretz Israël(ヘブライ語でパレスチニアの意)に移民した背景を語る内容である。この"Alyah"もヘブライ語で、聖なる地に移民するユダヤ人のことをさす。

主にドイツやオーストリアに生き残ったユダヤ人たちは、イギリスと米国の軍事下により管理されていたキャンプ「Displaced Persons=D.P」に身を寄せた。家族や友人と再会することができた者たちもいれば、全てを失いながらも、結束感に助けられ、人生を再建することをあきらめなかった。

1945年~1948年の3年間で、およそ7万人のユダヤ人たちが、違法な行為でありながら、船で聖なる地へと移民を試みた。成功確率は非常に低かったが、フランスは、ユダヤ人解放に積極的であったこともあり、パレスチニアにおけるユダヤ人の存在を懸念するイギリス政府と対立した。実際には、どれだけのユダヤ人が聖なる地にたどりつけたのか、正確な数字はどこにも記録されていない。

2.jpgイスラエルの旗を掲げる若者たち © Mémorial de la Shoah / CDJC - United States Holocaust Memorial Museum

「Alyah Beth」展
会期:2008年5月6日~2008年9月28日
会場:Mémorial de la SHOAH
住所:17 rue Geoffroy-l'Asnier 75004 Paris


text by Kaoru URATA

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