ドイツ表現主義を代表する画家、エミール・ノルデの水彩世界 [ update:2008.11.25 ]

Paar(カップル)1931-1935年 36,5×50,4cm 水彩画
Stifung Seebüll Ada und Emil Nolde
Neukirchen,Allemagne ©Nolde Stifung- Seebüll
パリでは、必ずと言っても過言ではなく、「見逃してはならない展示会」がどこかで開催されている。今年は、国立美術館グランパレではじまった、ドイツ表現主義アーティスト、Emil Nolde(エミール・ノルデ)の回顧展であろう。
19世紀後期ドイツに農家を営む家庭に生まれたノルデは、プロテスタント系カテキスムの教育を受け、農作業にも携わる幼少期を過ごした。その後、家具職人と彫刻の修行をして、スイス装飾美術大学のインダストリアル・デザイン科でデッサンを教えることになる。ちょうどその頃、葉書サイズにアルプスの頂きの風景に、珍妙な人物が登場する水彩画を描き、それらが出版物として掲載され、瞬く間に好評を得たことから、画家としての道を歩むことになる。
「遅咲き」の画家とも言われたものの、20世紀初頭にミュンヘンとパリで学んだ画家としての技術と魂は、生前、独自の世界を切り開くことを惜しまなかった。正反対の性質を伴った、ドイツとデンマークの国境に近い地元の町と大都会ベルリンに魅了されつづけた影響か、孤独と社会劇といった、相反する場面を絵画で表現した。
Das Leben Christi 1911・1912年 220×579cm 油絵
Stifung Seebüll Ada und Emil Nolde
Neukirchen,Allemagne ©Nolde Stifung- Seebüll
2度の世界大戦を生き抜き、ナチ権力に逆らう行為から、1941年に強制的にドイツでの活動停止処分を受けるものの、"描かれていないイメージ"と題した、数々の小サイズ水彩作品を手がけた。それらは、"Phantasien"というシリーズで、ノルデ自身が、しみや群れのようにもみえるといった水彩カラーから、一本の線が導かれていく。アーティストが意図することが、ストーリーになる瞬間のようなものを感じずにはいられない。
油絵90点、水彩・版画・デッサン70点にも及ぶ作品が、年代ごとに一挙に公開されるのは、フランスでも初めてのことである。
■Emil Nolde展
期間:2008年9月25日~2009年1月19日
会場:グランパレ美術館(Galeries nationales du Grand Palais)
3, ave du Général Eisenhower
Tel:01-44-13-17-17
10:00~22:00(木曜日は20:00まで / 火曜日定休)
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text by kaoru URATA









