ビル全体を"山"に見立てた鴻池朋子の試み [ update:2008.04.16 ]

襖絵 タイトル未定(下図)
2008 紙に鉛筆 305 x 1060mm
撮影:宮島径 Courtesy the artist and Mizuma Art Gallery
鴻池朋子が2005年~2006年にかけて発表した、6メートルを超える4つの巨大絵画「物語」シリーズ。敢えて作家の言葉を介在させず、作品によって観客自身の物語を引き出すことをテーマに制作。しかし鴻池はそのことになぜか重大な過失を犯してしまったような感覚を持ち続けていた。
その後約一年の間制作を通して自分と向き合っていたある日、彼女は観客の何気ない一言によって、ずっと自分が「一番言いたいことを隠している」ことに気づくことになる。
「それは鴻池さん、もしできることなら観客は誰でも作家のひたいを開いて、脳の中に入り込んでその中の世界を見てみたい、歩き廻ってみたいものなんですよ。それができるならどんなに素晴らしいか」。
ミヅマアートギャラリーにて開催中の「隠れマウンテン&ザ・ロッジ」は、鴻池が「ならば、観客が作家の額を開いて、その中央にある松果体あたりに侵入し、くるりと振り返って瞳孔の窓から外の風景を眺められたらどんなにいいだろうか」という考えのもと、2F&5Fのスペースにて展開している。
襖絵 タイトル未定(制作中)
2008 ミクストメディア
1820 x 5440mm 撮影:宮島径
ギャラリーのビル全体を山に見立て、登山するように作品を鑑賞してゆく構成。まず、初めて鴻池が挑んだ大きな襖絵が観客を迎え入れる。観客はまず大きな襖絵を目の前にし、描かれたもの(そして閉じられているもの)の向こうの世界を想像し、その想像力と共に頂上を目指して進んでいく。作品の向こう側にある、隠されたものを見たいという欲望はまるで険しい山の頂きに挑む山登りのように、恐怖や歓喜を触発させるのだ。
自然現象や予期せぬアクシデントに見舞われる可能性を含み、自己と向き合いながらその向こうの世界を切り開いていく力を必要とする"登山"。その体験を通して、今まで作家鴻池朋子があまり語らなかった自身の言葉が見えてくることだろう。
鴻池朋子展「隠れマウンテン&ザ・ロッジ」
会期:2008年4月16日(水)~5月17日(土)
開館時間:11:00-19:00 ※日曜・月曜・祝日は休館(但し5月3日、6日は開廊)
会場:ミヅマアートギャラリー 入場無料
東京都目黒区上目黒1-3-9藤屋ビル2F/5F
Tel:03-3793-7931









