7:30AM。プラハで迎える最初の朝。宵っ張りの私が、昨夜は近くの教会が鳴らす12時の鐘を聞くことなく眠ってしまいました。行きの飛行機で眠らなかったのがよかったのか、今朝はすっきり爽快。時差ボケもなし! しかも、快晴。絶好の観光日和なので、こんな日は美しい風景を楽しむためにも歩くに限ると、名所中の名所、カレル橋を目指すことに。ルートは、ホテルにほど近い旧市街広場を横切り、 カルロヴァ通りへ。そこからヴァルタヴァ(モルダウ)川まで進んだら、目の前にはカレル橋が見えているはず。朝食をしっかり摂ったら、さっそく出発!
まずは、旧市街とユダヤ人街を繋ぐ場所にある旧市街広場へ行ってみることに。
ここには、街の目印でもあるティーン大聖堂や、旧市庁舎などが広場を囲むように建ち並び、1階の多くがカフェになっています。昨夜、ここを通りかかったときとは違い、今ははっきりと中世の街並みが全容を現しています。その様子はまるで童話の世界。ロンドン、パリ、ミラノ、バルセロナ等ヨーロッパの有名都市をいくつか訪れていますが、これほどまでに歴史を感じさせる街は初めて。美しいだけでなく、刻まれた時間の分だけ“重い”という感じ。もちろん、それは心地の良い重量感。そこに、ヨーロッパの光によく似合う壁面のピンクやイエローなどが、可愛らしさを添えているのです。
ふと旧市庁舎の脇に目をやると、ものすごい人だかり。一様皆上の方を見上げています。何をやっているかと彼らの視線の先を追ってみると、そこには細かな細工が施された時計。
なるほど、これが仕掛けで有名な天文時計。毎日、朝9時~21時まで1時間ごとに動くとか。時刻は9時10分前。もう少し待てば、今日最初のショーが始まるのですから、待たないという手はありません。そして、9時ちょうど。時計横の骸骨像が鐘を鳴らすと、二つある窓が開き、十二使徒がお行儀良く顔を出す。彼らの挨拶が終わると、てっぺんにある金の雄鶏が元気良く鳴いて終了。人々は歓声をあげ、拍手を送って散っていくのです。プラハに来たら、一度は観たいと思っていた仕掛け時計。なんだか幸先がいいみたい。
すっかり満足して、旧市街広場を後にし、カレル橋を目指します。途中、通り抜けるカルロヴァ通りは、観光客がいっぱい。皆、立ち並ぶお土産物屋さんに気をとられているようだけれど、実は見上げるとこの通りにはいくつもの面白い標識が。

中世のプラハには住所がなかったため、人々は目印のために家の壁や入り口近くに様々なモチーフを象った標識を掲げていたそう。なんと、それが今も残っているのです。プラハで最初のカフェがあったという建物には「黄金の蛇」。フソヴァ通りにぶつかる場所には「黄金の虎」と「二人が担ぐ葡萄の房」……などなど。これらの標識がついた家は、旧市街に建つものの中でもかなり古い家であるという目安になるわけですね。プラハの街並みに魅了されたなら、地図を片手にさっさと歩いてしまわずに、ぜひゆっくりと周囲を見回しながら歩きたいもの。
ただ、こんな風にしていると時間がいくらあっても足りません。旧市街広場からカレル橋まで徒歩でほんの10分ぐらいの距離なのに、気がつけば1時間ほども経っていました。まあ、いいか。予定通りに進まないことも、個人旅行の醍醐味であるわけですし。

そうこうするうち、やっと到着したカレル橋。噂にたがわず観光客で溢れています。欄干には30体の聖人像が建っているので、皆思い入れのある像の前で写真を撮ったり、祈ったり。似顔絵画家、写真家たちが観光客向けに露店を出しているのも橋の名物のようです。そして橋の向こう側にはプラハ城。カレル橋とヴァルタヴァ川、そしてプラハ城と、三つの名物が揃った景色を「上から眺めたい!」と周囲を見回してみたら、橋の旧市街側に建つ塔に入れる様子。最上階まで登ると、そこにはこの絶景(写真)が広がっていました。

入り口がわかりにくいせいでしょうか、この塔に登ろうとする人が少ないのが不思議。有料(60チェココルネ=約360円)とはいえ、ここは穴場かも。人気のない塔の頂上で、iPodに入れてきたドヴォルザークの交響曲第8番を聴いてみると、音楽が風景の中に溶け込んでいくような感覚を体験。やはりこの曲は、この風景の中で生まれたものなのだと鳥肌が立ちました。





